秘書の高度な判断力と柔軟性
秘書は上司の補佐役です。
基本的には上司に指示を仰いで判断します。
しかし、時には自身で判断する必要のある場面に遭遇します。
その際は、高度な判断力が必要となります。

秘書は基本何事も上司の許可をとることはわかりますよね?
そのため、逆に独断で判断してもよいことを覚えてください!
上司に「取り次がないように」と言われた場合
Q:秘書Aは上司(部長)から「今から会議に入るので電話と来客は取り次がないように」と言われていた。
Aの対応として不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(類似:第111回、第126回過去問)
1:取引先と商談中の課長から電話があったため、会議中の上司にメモで伝えた。
2:部下が「稟議書に承認印をもらいにきただけ」と言ってきたので、会議中の上司にメモで伝えた。
3:取引銀行の支店長から着任あいさつの電話があったので、「立て込んでいるため後ほど折り返します」と一旦電話を切った。
4:上司宛の紹介状を持った見知らぬ客が来訪したため、会議中の上司にメモで伝えた。
5:「急ぎで取り次いでほしい」と上司の家族から電話があったので、会議中の上司にメモで伝えた。
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正解:2
「稟議書の承認印」は急ぎでなければ後で済むので、わざわざ会議中の上司の手をとめる必要はない。
あとで済む用件として取り次がない内容となる。



「取り次がないように」という上司の指示に反することをするの?
って思っちゃうけど、指示を仰ぐ必要がないものも存在するんだね!
事後報告でよいこと
Q:次は部長秘書A子が、上司の了承を得ずに処理して後で報告したことである。
中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
1 )中元や歳暮などが届いたとき、礼状を出しておいて後で品物と一緒にまとめて報告した。
2 )上司あての電話だが上司が取り合いそうもない用件だったので断っておいて後で報告した。
3 )他部署から上司のスケジュールについて問い合わせがあったとき、理由を尋ねてから答えておき後で報告した。
4 )上司が役員をしている業界団体の会議開催通知には、スケジュールを調整して出席と返事しておき後で報告した。
5 )上司外出中に常務から明日の取引先の葬儀に参列するよう連絡があったとき、重なっていた部内会議の時間を課長に聞いて調整し後で報告した。
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正解:4
上司の出欠に関わるような重要な事項(特に業界団体の会議)は、必ず本人の了承を得てから対応すべき。
秘書が独断で出欠を決めるのは適切ではない。
上司にとって会議が重要でない可能性や、既に本人の中で別の優先事項がある場合もある。
1:中元や歳暮に関する礼状
礼状の送付は事務的な処理であり、迅速に対応し、上司に事後報告で問題ない。
2:上司あての電話
内容を判断して対応するのは秘書の役割。
上司が不要な電話に対応する時間を減らすため、判断して断るのは適切。
3:スケジュールの問い合わせ対応
他部署の問い合わせについて理由を確認し、適切に回答するのは秘書の業務範囲内。
(もちろんこれが他社からのスケジュール問い合わせであれば上司の許可なく教えることはできない)
4:葬儀への参列スケジュール調整
常務取締役>部長 秘書Aの上司(部長)より常務の方が役職が上位です。
また、部内会議については課長と相談して調整しているため事後報告で問題ありません。



「部長より常務が上」や「礼状なら事後報告で」など学生さんにはイメージしづらいかもしれませんね!



頑張って状況を想像してみましょう!
優先順位
- 取引先>社内
- 社長>専務>常務>部長>課長>係長
- 緊急性の高い業務>通常業務
上司のプライバシーをきかれたら
Q:秘書Aの上司(営業部長)あてに上司の友人から電話があったため、「不在にしている」ことを伝えた。
友人は、新製品プレリリースの式典の案内状を上司の自宅に送りたいとのことである。
自宅の住所を教えてほしいと言う。
この時、Aはどのように対応するのがよいか。
次の中から適当と思われるものを一つ選びなさい。
(類似:108回出題)
1:「自分が教えることはできないので人事部へ電話を回す。そこで事情を話してほしい」と言う。
2:「上司に確認しないといけないため、上司が戻り次第確認して折り返す」と言って相手の連絡先を聞いておく。
2:「上司に確認しないといけないため、上司が在席している時にかけなおしてほしい」と言う。
3:「案内状であれば会社に送ってもらえないか」と言って会社の住所を教える。
4:「すぐに上司に確認して折り返す」と言って上司に電話して確認する。
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正解:3
上司の自宅住所は、個人情報であり、安易に外部に漏らすべきではない。
しかし、今回は上司の友人からの依頼であり、式典の案内状を送るという目的が明確。
式典の出席の可否は案内状を見た上司が判断し返信すればよい。
そのため、上司の自宅ではなく、会社の住所を教えるという対応が最も適切。